算数教育

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保育所保護者へのご挨拶

幼児の実験などでお世話になっている都留市内の保育所の保護者に挨拶文を差し上げました。後家庭でできる数概念指導などを紹介しましたので、転載します。


 ○○保育所の園児の保護者の皆様、初めまして。
 都留文科大学初等教育学科で算数教育、数学に関する講義・研究をしている植村でございます。幼児の数概念はどのようなものであるかを、皆様のお子様達に実験をお願いしながら、調べております。保護者の皆様のご理解とご協力に感謝しております。

 小・中学校での算数・数学の授業が苦痛であったという方も多いかと思います。逆に、一生懸命考えた問題が解けたときは、嬉しかったという人もいらっしゃることでしょう。また、お子様が小学校入学の後、算数で苦しまないように今の段階でできることがあるなら実行してみたいと考える方も多いでしょう。その場合、まず思いつくことは、小学校での算数の先取り学習です。

 10まで、あるいは20さらには100まで、数を数えられる。
 数字の読み書きができ、2+4や3+6などの足し算の式の答えが正しく書ける。

これらではないでしょうか。私はこの学習法には疑問をもっています。


 人類が数の概念を獲得するまでには長い時間がかかっています。数を用いることなく量の多少などを判断していた長い期間があります。その期間に、人類が苦労して獲得した知識が基となって数が誕生したのです。小学校に入る前に必要なことは、数を覚えたり1年生の学習が判るというのではなく、数を発明するに至った人たちと同様に、現在の数の概念につながる体験をできるだけ多くすることと思います。

 音の回数と物の個数の関係は、乳児でも判断できるという報告があります。スクリーンの向こうで、何か物が落ちる音が2回した後、スクリーンをあげます。人形が2つある場合と、3つか1つある場合では乳児の反応が違うそうです。3つや1つの場合はびっくりして、2つの場合よりも長い間人形を見つめるそうです。落ちる音は2回だったのに、なぜ3つ(1つ)あるのだろう?

 このことを応用するだけで御家庭で幼児に多くの体験をさせることができます。
まだ数を知らないお子さんにお皿を3枚持ってきてほしいという場合、2通りの方法を紹介しましょう。ひとつは、「おじいさんの分、おばあさんの分、○○ちゃんの分のお皿を持ってきて」であり、他の一つとして「今からお母さんが手を叩いた分だけお皿を持ってきて」といって手を3回叩く方法です。

 拍数を物と対応させることも可能です。「ママが手を1回叩いたらミカン、2回はリンゴ、3回はバナナ」と決めておいて手を叩き、子どもに当てさせるゲームが考えられます。そして夕飯前に帰ってきたパパをびっくりさせるもう一つのゲームがあります。「パパ、僕はパパがママに何を言うかわかるんだよ。うそだと思ったらミカン、リンゴ、バナナのどれかをママにいってごらん。僕は絶対当てるから」、可愛い我が子からこのように言われてママに何も言わないパパはいません。そしてママは決めておいた回数だけ手を叩けばよいのです。パパもママも今日一日の疲れがすべてふっとんでしまいます。

 私はこのような、普段の生活における何気ない体験が幼児の数概念を豊かなものに作り上げていくと思っています。

                                                植村

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